考察

「考察ブーム」についてここ数日考えていた。私は考察的なコンテンツが溢れかえっている現状のことを、「人が考察を好んでいる」が故のブームとは正直あまり思っていない。もちろん考察そのものを楽しんでいる人はたくさんいるのだろうが、どちらかというとコンテンツプラットフォームビジネスが膨張しすぎた結果の、ユーザー行動の画一化の一環として見ている。考察は外部のコンテンツに依存しているために量産や複製が容易く、コンテンツの注目度(=検索・アクセスのされやすさ)に乗っかれることからプラットフォームのアルゴリズムに対して強い。とりわけ無料のプラットフォームにおいて、素人が短期的報酬(お金あるいはいいねなども含むユーザー間コミュニケーション)を得るための手段としては特に便利なジャンルの筆頭だ。同じくらい報酬に直結しやすいのは、あとは金、性、政治、炎上ネタくらいだろう。2021年12月の『ゲンロン』「無料とはなにか」特集を読み返したら東浩紀が、無料プラットフォームのもたらしたコンテンツの多様性の衰退について話していて、その傾向はこの時以上に加速しているし、その中で「考察」が台頭するというのは今考えれば必然だよな、と思った。一方で、「考察がブームなのだ」とメディアや著名人が言及することで考察の立ち位置というか商品価値が変わり、また次の段階へ進むのかもしれないとも感じる。個人的にはあまり考察と呼ばれるタイプのコンテンツに惹かれないのだが、それも変わっていくだろうか。

日記