ブーブージャー
夫不在の過酷な一日。午前と午後、それぞれマメ氏を連れて外出する。午後は大きめの商業施設へ行き、おもちゃ売り場へ。マメ氏は最近まで、おもちゃの山に対してそこまで強い反応を見せなかった。たぶん音や人混みに圧倒されていたのと、物がありすぎてよくわからなかったのだと思う。しかし今日のマメ氏は、2人で歩いている最中にハタと足を止めた。視線の先にはトミカなどの車のおもちゃが。ついに気づいてしまったのだ。マメ氏はそのまま強くコーナーを見つめ、そっと近寄ると、「ブーブージャ……!」とつぶやきながら大きめの車のおもちゃを次々手に取っていた。気に入ったものを、傍にしゃがみこんだ私の膝の上にのせていくのが面白かった。マメ氏の車を見る視線は真剣そのもので、これが「好き」の始まりなんだとよくわかった。台に接着された車のおもちゃに特に夢中で、ずっと見つめて立ち尽くしているので私もそのまま放っておき、横についたままスマホのKindleで『ノートルダム・ド・パリ』の続きを読む。すでにものすごく長く読んでいる気がするが、まだ全然冒頭で変顔対決をしているところである。しばらくして飽きた子どもと家に帰り、また2人で遊んで過ごした。