動物とAI
家族で義父母の家へ行く。電車で1時間ほどかかるため、マメ氏一歳にとってはそこそこ大変な道中である。私は名古屋出身で母方の祖父母宅が三重県桑名市にあり、やはり実家の最寄り駅から向こうの駅まで1時間ほどだったが、小さいうちはこれがとんでもない大移動に思えたものだ。幼いマメ氏には当然辛抱のきかない長さで、終盤は私の膝の上でぐずぐず。しばらく「シナぷしゅ」を無音で観せたりもしていたのだが、ややあって隣に座っていたかなり高齢の老婦人が、マメ氏に向かってスマホを突き出してきた。画面には、高級そうな出で立ちでファッションショーのランウェイを歩く幼児が映っている。幼児は肩に巨大なリスを乗せ、着ている服もリスをモチーフにしているようである。ん? と思っていたら、幼児がペンギンやら巨大な鳥やらホワイトタイガーやら、次々とんでもない生き物と共に現れ、さすがにAI動画だとわかった。AI動画として見るとなかなかのクオリティだ。ランウェイの後ろでわらわらと動いている観客たちもリアル。こういうものを見ず知らずの人からいきなり見せられるとは、AIで作った画像や動画、テキストがいかにそこらじゅうにあるかを感じる。しかし老婦人はこれを本物と思ってやしないだろうか。私の心配を知らない老婦人は「すごいわよね〜これ」と言いながらマメ氏の顔を見ていて、マメ氏は何もわかっていない顔で画面を見ていた。