無目的で不自由
仕事の合間に気晴らしでパン屋に行く道中、また自分がヤーレンズについて考えていると気づいた。私は彼らのネタを見たことがなく、当然ファンでもなんでもない。ただ、最近読んだTBSラジオの記事が妙に頭に残っていて、ここ三日くらいやたらとその内容を思い出している。彼らは元々さほど良い関係性でもなかったが、コロナ禍の時期に他にすることがないからと、二人でただなんとなく会って会話を重ねていた時間を経て仲が深まったのだという。これ、すごく大事なポイントを含んだエピソードだと思う。目的なく集まり、他にすることがない状況で、何かを達成しなくてもいい会話を繰り返す。こういう時間は、小中学生の頃にはよくある。でも大人になるとなかなかない。何が一番ないって、「お互いに他にすることがない状況」が滅多にないのだ(片方だけ、はある)。だから本当にゆるい会話が成立せず、お互いが相手に対して気を許すモードを獲得できないのである。もちろん、コロナ禍を経てむしろ関係性が悪化して解散するお笑いコンビもたくさんいたのだろうけれど。とはいえ一定期間、無目的で不自由な時間を共有できた人間関係はやはり強いと感じる。”家族”というフィクションが強固なのもそのせいだ。パン屋ではベーコンエピとあんバターパンを買った。腹が重くなり、日中は他に何も食べないようにして過ごす。